2022.05.22 小説を書きたい小説

「小説を書きたい……だって?
何でまた」

「理由は色々あるんだ。まあ、小説家になりたいわけじゃあないんだけど。
まず第一に、最近感受性が低くなって感動しにくくなってきた気がする。目が肥えてきたって言って良いのかな。面白くないな、と思いながら小説を読んだりしているんだけど、それはただのわがままな批評家だよね。無産の癖に偉そうな。もしそんなときに自分が書く側に立ったのなら、含まれる技巧や上手さに気づくかもしれない。『なんて素晴らしい表現なんだ!こんなの僕には思いつかない!』と思うだろうね。僕はもっと色々なことに感動したい。ま、言わば、感受性のリハビリだよ。
第二に、僕は色々な表現方法の中では文章を書くのが最も楽だし、自然に出来る。絵や音楽やゲームづくりとか、表現者は色々な方法で表現しようとしているけれど、やっぱり自ずと行えることが楽だし、「好きなもの」だと定義しても良いんじゃないかな。『好きなこととは、やってみたいと思うものではなく、やってしまうことである』なんて言葉を君も僕もよく考えている。僕は文章を書いてしまう。だから、執筆が良いんじゃないか。
第三に、僕は他人の心がわからない。自分の心がかろうじて少し分かる程度だ。故に文章執筆の中ではエッセイ、評論はごく普通に出来る……と思っている。でもブログ歴14年の僕にとっては今まで同じことをしていても同じ結果が導かれるように思う。それはあまり面白くない。……新しいことをしてみたいんだ!だから小説という、他人が登場するものをちょいと書いてみたいと思うんだ。民俗学など、『あの時、あの場所で、人々は何を思っていただろうか』ということを細々と追求している自分だけど、小説を書くことで更に他人の気持ちを知ることが出来、ひいては人々の幸福、そして自分に残された幸福の余地というものまで知ることが出来る……そんな気もするんだ。この日記もあえて対話形式にしてみたのもそのためだ。」

「なるほど、小説を書きたい、その練習としてこうやって僕に話しかけているわけだ。
でもいきなりそんなにべらべらと長文を話すようじゃあ会話になっていない気がするな。
それに、情景描写も無いじゃないか」

「……うん、まさしくそうだよ。今の僕はこうやって自問自答を行ってエッセイを書いているだけだ。進歩は無い。君も僕だからそれは他人じゃない。シミュレーションは全く出来ていないね。
実はこのアイデアは5月の心地よい気候の中、愛媛県宇和島と大洲をツーリングに行くときに思いついたわけだだけど、運転中やビジネスホテルで悶々と考えて出された結果なんだ。
……情景描写についてはまだまだこれからということにしておいてくれよ。情景描写があれば言葉にできないような雰囲気を出すことが出来るんだけど、今は頭で考えていることを整理しているんだからさあ」

「ああ、また独善的に話してしまっているようだね。
小説ってのは基本的に楽しませるような、興味を持たせるようなものを書くことであって、日記じゃないんだ。」

「今はまだ小説の形を成していない。それは認める。だけどまあ、他人のことや感受性のリハビリだから、少しは目を瞑っておくれよ。
とりあえず今の君は僕だが、君も変える必要があるのかもしれないな。僕を演出するだけではただのオn……セルフプレジャーだよね」

「よくその言葉を留まっておいてくれたね。そうだ、そのとおりだ。
僕は変わる必要がある。では何に?
……まあいきなり全く異なる人間をシミュレートするのは難しいから、せめて自分に近い人間になるのはどうだろう。
君や僕はMBTIで言うところのINTJだ。だから本物のINTJや、INTPを演出してみるのはどうだろう」

「そうだね。次は人種のテーマを決めて会話や小説を書いてみよう。
なんか、バイクで走っているときに考えたものよりも、これらの文章はスムーズに書けなかったなあ。
やっぱり頭で一気に考えるのとキーボードをカタカタと打つのでは思いの表出にハードルがある気がするよ。
思いついたことはその都度メモして、そのメモを頼りにキーボードで翻訳作業をするとかの流れになるのかなあ」

日記

Posted by YU